イベントの案内メールを「もっと洗練させて」と AI に頼む。2 稿目では見出しが変わり、3 稿目では申し込みの情報が消え、4 稿目では気に入っていた書き出しがまた広報資料のような口調に戻った。どの版も何かをしたようには見えるが、どれが完成に近いのかは誰も言えない。

この行ったり来たりは、たいていプロンプトの出来とは関係がない。原因は、違いの見えないフィードバックと、どこを動かしてはいけないかが書かれていないことにある。「もっと自然に」「もっとプロらしく」「もっと温かく」には、どれも十通りの解釈がある。AI は口調、長さ、構成、言葉選びを一度に変えるしかなく、次の回ではまた比べる基準がなくなる。修正を収束させるには、毎回伝えることを三つにしぼる。残すもの、目に見える一つの変更、触れてはいけない部分。そのうえで AI に二つの版を出させて比べる。

形容詞を足すほど、AI が変える場所は増える

AI の直し方が違うと感じると、つい形容詞を足したくなる。「もう少し短く、もう少し温かく、でもプロらしく」。問題は、形容詞が増えるほど解釈できる方向も増え、AI が毎回変えるものも増えることだ。

OpenAI は、AI の出力を評価するための指針で二つのことを述べている。一つ目に、モデルは同じ入力に対しても違う出力を返すことがあるので、一回の結果だけで判断してはいけない。二つ目に、モデルは選択肢を見分けるほうが得意なので、評価では「よいかどうか」を自由に問うより、二つの版の比較、分類、具体的な条件による採点を使うほうがよい。手直しも同じだ。「これで洗練されたか」と AI に聞くより、二つの版を作らせて、どちらが近いか、何が違うかをあなたが指すほうがよい。

フィードバックの票には三つだけ書く

残す: すでに正しい部分。たとえば日付、場所、申し込みリンク、最初の一文は動かさない。

変える: 今回変えるのは、違いが目に見える一か所だけ。たとえば「中盤を 90 字から 45 字に縮め、三つのスローガンを、参加者が実際に出会う一つの場面に置き換える」。

境界: 変更のために犠牲にしてはいけないもの。たとえば、イベントについて新しい約束を加えない、参加費を変えない、確認できていない登壇者の経歴を事実として書かない。

この三つの欄には、「もう少し短く」にはない大事なものがある。AI はどこまで直せば完了なのかがわかり、どこに触れたらかえって後退になるのかもわかる。評価について説明した Anthropic の文書も同じ趣旨だ。よい成功条件は具体的で測れるものであるべきで、「よい性能」ではなく、何を達成したいのかをはっきり書く。

どの版を選ぶかも、同じやり方で伝える。「B のほうが温かい」とは言わない。「B を選ぶ。最初の二文で参加者が何を持ち帰れるかを直接言っていて、45 字以内に収まっているから。日付の文は A のものを残す。どちらの版も無料相談を保証のように書いているので、その一文は使わない」と言う。こうすれば次の回には実行できる条件があり、却下した理由も残る。

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意見の食い違いは分類し、AI に折衷させない

同じ一文について二人の同僚の意見が分かれると、AI に「間を取って」と頼むことがよくある。結果はたいてい、どちらの意見にも沿わない。AI との関わり方のデザインを研究する Google のチームはガイドブックで、ラベル付けをする人どうしの意見の食い違いを、ただの雑音として捨ててはいけないと注意している。指示、手順、データそのものの問題を浮かび上がらせているかもしれないからだ。

だからまず、その食い違いがどの種類かを問う。一方がブランドの口調を、もう一方が法令に基づく開示を気にしているなら、それは言葉の好みではなく、二つの違う責任だ。法令に関わる内容を触れてはいけない境界にし、口調はブランドの責任者に任せる。「熱っぽさ」の度合いが違うだけなら、二人にそれぞれ受け入れられる例文と受け入れられない例文を一つずつ選んでもらい、違いをはっきりさせる。

いつ止めるか

一度に一つの面だけを変えるのは、ほかの質が大事でないからではない。五つを同時に変えて、どこから改善が来たのかわからなくなるのを避けるためだ。二つの条件がぶつかるとき、たとえば背景を十分に補いながら字数を半分にしたいときは、まず人が優先順位を決め、AI に推測させない。

止めどきも知っておきたい。今回の条件を満たし、残すべき部分が壊れていなければ、そこで止める。AI が 5 稿目を出せるからといって、「新しい版がある」ことを進み具合と取り違えない。出典の事実どうしが食い違う、ブランドと法令の要求に優先順位がついていない、あるいは変更が価格、契約、採用のような社外への約束になる、といった場合も、止めて責任者に渡す。

次に AI の手直しが堂々巡りし始めたら、まずいまの版を保存し、フィードバックをあの三つの欄に書き直してほしい。仕上がったものを同僚に引き継ぐときは、どの版を選び、なぜ選んだのかも一緒に渡す。整ったAI要約でも、そのまま仕事を引き継げるとは限らないも参考になる。直しているのがコードなら、第一版の後に誰が受け入れを判断するのかについて、AI が出したコード変更の第一版は試し見積もり。本当の請求はレビューと保守にあるも参考にしてほしい。

AI 整理カード

文書(またはスライド、デザインの説明)の手直しを AI に頼んでいるが、何度やっても堂々巡りしている。収束させたい。
判断方法はこの記事による:https://boosterminiclass.com/ja/posts/ai-revision-feedback-compare/
記事の見方はこうだ。手直しが堂々巡りするのは、フィードバックに違いが見えないからだ。毎回伝えるのは三つだけにする。残すもの、目に見える一つの変更、触れてはいけない部分。そして AI に二つの版を出させて比べ、どの版も残しておく。

まず私に 3 つ質問してほしい:
1. 最新版と一つ前の版はそれぞれどれで、いまいちばん不満なのはどこか;
2. すでに正しく、もう動かしてはいけない内容はどれか(日付、価格、リンク、ある一文など);
3. 変更のために犠牲にしてはいけない事実、約束、法令上の要求はあるか。

私の回答をもとに、次を出力してほしい:
- 最新版と一つ前の版の比較:意図した変更、まだ解決していない問題、起きるべきでなかった変化。それぞれ原文の一部を添える;
- フィードバックの票:残す/今回唯一の変更条件(違いが見えるほど具体的に)/触れてはいけない境界;
- 指定した範囲だけを直した A と B の二つの版と、それぞれが条件をどう満たし、どんな代償がありうるか;
- 今回の停止条件。
私の代わりに版を選んだり、合わせたり、直す範囲を広げたりしないこと。私が決めるまで待ってほしい。
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